「帰省に持ってく本」問題

私の実家は、新潟という一般イメージからして田舎感あふれる県の、内陸側に存在しているらしい十日町市とかいうザ・片田舎の、信濃川が山地を削って作った河岸段丘の上の、田畑のあいだにたまたま人が住んでいるような集落にある。冬は3mとか4mとか雪が降るどうしようもないところだけど食べ物はなんでも美味しいし(我が家の田んぼでとれるお米は正真正銘の魚沼産コシヒカリなのだ)、とても居心地がいいのでよくまとまった日数を捻出して帰るようにしている。私の実家あたりは文化的に洗練された場所とは言いがたいものの、都会の生活に親しみながら心身は知らず知らずのうちに疲れてすり減ったりしているもので、勝手知ったる田舎の静けさがなによりの薬となってくれてありがたい。決まってコミケに足を運ぶことができないという諸刃を抱えながら、例によってこのたびも帰省する。

そこで毎回の悩みの種になるのが持って帰る本のことだ。大掃除、料理、雪かき、その他もろもろの手伝い、地元の友人と遊ぶ等々いろいろやることはあるとはいえ、時間なんか結構できるだろうから行く前からあれこれ読みたい本のことを考えるわけである。あれ読んでなかったし、これも再読したいし、そうするとこれも読まないとだし、いまはそうでもないけれど実家で過ごすうちにこれも読みたくなるかもしれないし……真にどうしようもないのはテメーだよという優柔不断。普段から読んでおけば解決するのにね。

かつて夏期休暇中に図書館で借りたものも含め20冊近くの本を持ち帰ったが結局ほとんど読まなかったなんていう苦い思い出もあり、このときはさすがに反省した。それ以後はもっと候補を絞るようになったり、手軽な文庫本を中心に揃えるようにしたり、相応に改善している自覚もないではないが実際まだやらかしの域から脱していない始末なので本当にどうしようもない。さらに頭ぱっぱらぱ~なことといえば帰省中にもまた本を買って戻りの荷物を増やすやつだろう。人のせいにしたいのではないが、かつて欲しいものをちょっとした判断遅れで買い逃した私に友人がかけた「欲しい思ったらそこが買い時だ」という金言をここ数年で何度も反芻している。そして実際その言葉通りであるとの確信は揺らいでいない。

とにもかくにも、この記事を書いている現状も悩んでいる途中である。読みたいジャンルや目的や著者など、なにかしら判断基準にしようはあるかもしれないけれど、ここまでくるとあってないようなものだろう。課題図書よろしく人に決めてもらうとか指定してもらうという手もあろうが、誰にしてもらうかというのがぱっと思いつかなくて頼めない。そしてヒイヒイ言いながら小一時間、かなり必死に取捨選択をしてなんとかここまで絞った。

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果たして明日の帰省のカバンのなかにはどれが入っているのか。楽しみだが、これ全部、とかまたやらかしそうで笑えないけれど。というかなぜに読んだことがある本を除外できていないのか。この問題、一生の付き合いになりそう。(そもそも解決する気があるんですかねえ…)